半分以上は創作用思いつきメモ……。
晋書曹志伝
曹志は曹植の子。晋に仕えたので、晋書に伝があったり。
で、その晋書の曹志伝に、個人的に気になる部分があったのでまずはそこから。
(晋書、曹志伝)
問志曰:「是卿先王所作邪?」志對曰:「先王有手所作目錄,請歸尋按。」還奏曰:「按錄無此。」帝曰:「誰作?」志曰:「以臣所聞,是臣族父冏所作。以先王文高名著,欲令書傳於後,是以假託。」帝曰:「古來亦多有是。」顧謂公卿曰:「父子證明,足以為審。自今已後,可無複疑。」
で、晋書で訳は出てないってことで、訳文はこちらのブログがとても参考になったり。
六代論の作者
(てぃーえすのワードパッド)
自分の著書を広めるために有名人の著書ということにする?
てことで、今回気になったところはこのあたり。
司馬炎に六代論は、おまえの父親(曹植)の作品か尋ねられた曹志は、目録を調べてこう答える。
「以臣所聞,是臣族父冏所作。以先王文高名著,欲令書傳於後,是以假託。」
「私(曹志)は、これ(六代論)は族父曹冏の作だと聞いています。父曹植は高名だったので、彼(族父曹冏)はこの書(六代論)を後世に伝えようとして、父の作だということにしたのでしょう」
で、司馬炎の言葉。
帝(司馬炎)曰:「古來亦多有是。」
司馬炎は言った。
「古来からこのようなことは多くあることだ」
つまり、この辺のやりとりからわかること。
- 伝えられている著者と本来の著者が違うことは古来からよくある(西晋時点)
- その理由は、無名の作者が自分の作品を残すため(→有名人に仮託)
- この時代の有名人物の作品の場合、本来の作者は別人であってもおかしくはない
特に3つ目「この時代の有名人物の作品の場合、本来の作者は別人であってもおかしくはない」。
これはいろいろな可能性(創作用可能性等)に繋げられるかもという期待。
たとえば列異伝の可能性(というか創作アイデアメモ)
わりと創作寄りの可能性とかアイデアの話。
たとえば「列異伝」は曹丕作とか張華作とか伝えられているけれど。
曹丕も張華も、仮託するにはちょうどいい名声の持ち主ではあったり。
どっちとも伝えられているということは、どっちが作者であるという根拠も大してないということの裏返しともいえるのではないか。
となると、「列異伝」の著者(著者が一人として)は、曹丕でも張華でもない可能性は充分考えられる。
完全無名でもいいけれど、作品が残れば自分の名前は残らなくても気にしないという人物であれば、それなりに知られた人でもよさそう(創作的には完全無名だとオリキャラになるし、歴史創作的にはオリキャラかどうかはかなり重要)。
あるいは、自分の名前にこだわらないわけではなく、ダムナティオ・メモリアエにあった……とか考えるとそれはそれでロマンだったり。
たとえば、後世に作品があったことだけが伝わっている(目録に名前だけ残る「夏侯覇集」の夏侯覇とか)人物の作品だった――とかでも使えるんじゃないかなとか。
完全に創作用メモ、夏侯覇系
夏侯覇集の内容がどんなものだったか――は以前からかなり気になっていたり。
創作なら、実は列異伝は夏侯覇が著者だった……にしても、創作的に辻褄をあわせることは充分できそう。
夏侯覇の作品が、魏で名前が消される感じの扱いをされてもおかしくないし、父夏侯淵さえ除けば(これも不思議といえば不思議だし気になる)、夏侯覇の一族は文才あっても全然おかしくない(てかいろいろいるわけで)。
てことで、当面は脳内夏侯覇の書いている文章は列異伝(的なもの)に設定しておこうかなとか。
あと、夏侯覇と張嶷のやりとりも、なんとなく世説新語にのっていてもおかしくはない雰囲気も感じられたり。
世説新語が清談的世界を扱っているものだと考えるなら、夏侯覇の言葉はそういう文化や文脈でのものだったかもしれない。
また、張嶷の答えが褒められたというのも、そういった価値観でほめられたのかもしれない。
剽窃と仮託――名前と作品どちらを残したいか
で、ついでに思ったこと。
ある作品の実際の著者が違うケースでは二つのスタンスがあるのかなとか。
- 盗作(ぱくり、ゴーストライターを使うこと等)系
- 仮託系
で、盗作系は自分の名前を残したくて、仮託系は自分の作品を残したくてそうするのかなとか。
ミームって単語もおもいだした。
作品をミーム的に残したいという欲望……ととらえるなら、仮託系も盗作(剽窃)系とは方向性が違うだけで、これはこれで利己的といえるんじゃないかと思ったり。
著作が増幅する有名人
お金もそんな気はするけれど、持っている人はより豊かに……という傾向はわりとどこでもあるのかも。
知名度があがるにしたがって仮託する人が増える有名人という思いつき。
一生の間、不眠不休で文字を書いていっても物理的に書ききれないほどの著書があることにされる歴史上の人物――とか、なんとなくよさげ。
まとめ
とりあえずそのうち使えたらいいかなとか。
おわり。