2016.01.04
3963文字 / 読了時間:5分程度
三国志

最近、五瘟神の鍾会についてブログ書いたりしてたけれど。

それでさらに何かいい情報ないかなって検索してたら、こんなよさ気なのを見つけたりー。

▼鍾士季含む五瘟神関連資料

唐代瘟神「五帝」考 -御霊信仰の源流-
山口建治
20-Mar-2014
http://klibredb.lib.kanagawa-u.ac.jp/dspace/handle/10487/13032
PDF

前に読んだのに似てると思ったら、同じ人のだった。

瘟神の形成と日本におけるその波紋 : オニ(鬼)の発生と怨霊・御霊
山口建治
http://ci.nii.ac.jp/naid/40019769845
PDF

ちなみに、五瘟神関連が出てくるネットで見つけた論文は他にこれを発見。

長崎唐寺の媽祖堂と祭神について : 沿海「周縁」地域における信仰の伝播
二階堂善弘
http://ci.nii.ac.jp/naid/110007070322
http://kuir.jm.kansai-u.ac.jp/dspace/handle/10112/3195
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見つけられたのは現時点でこれくらいかなあ。

▼「唐代瘟神「五帝」考 -御霊信仰の源流-」メモ

で、他のは別の記事で一応目を通したので(忘れてること多いからまた読み直したいけど)、今回の記事は昨日見つけた論文の内容のメモとか。

改めてこれ。

唐代瘟神「五帝」考 -御霊信仰の源流-
山口建治
20-Mar-2014
http://klibredb.lib.kanagawa-u.ac.jp/dspace/handle/10487/13032
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ここの「一 五瘟神の形成」「二 五厲・五鬼・五瘟(温)・五帝」辺りがかなり詳しい感じ。

とりあえずいくつかを引用してみる。

「一 五瘟神の形成」

……
瘟神の語自体は宋代以降普遍的になるようだ。民間信仰のことであるから、瘟神信仰がいつからどのようにして生まれたかはいささか判然としないところがある。

……

清末の葉徳輝が明代刊本に基づき重刻した『三教源流捜神大全』「五瘟使者」の条には、以下のように記載されている。

(※以下、『三教源流捜神大全』「五瘟使者」日本語訳)

隋の文帝開皇十一年六月、内裏の上空十数メートルの高さに五人の力士が現れた。……

張居仁が申し上げるに、「これは五方力士で天上では五鬼、地上では五瘟であり、五瘟(使者)といいます。春瘟は張元伯、夏瘟は劉元達、秋瘟は趙公明、冬瘟は鍾仕貴、総管の中瘟は史文業です。もしこれが現れると国民に瘟疫の疾を起こすのをつかさどります。これは天がはやらせる時病なのです」

……
この時、帝は祠を立て、六月二十七日に詔して五方力士を将軍に封じた。

ここでは、『三教源流捜神大全』「五瘟使者」の日本語訳があるので便利。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

また瘟神信仰が民間信仰のためいまいちわかりづらいということも書かれている。

次の「二 五厲・五鬼・五瘟(温)・五帝」はさらにいろいろな資料も紹介されているのでありがたかったり。

「二 五厲・五鬼・五瘟(温)・五帝」

『女青鬼律』は南北朝時代の天師道の戒律の書であるが、その巻六にこの世のさまざまな災いは「人事が理を失う」からであり、(天が)今五主を派遣しそれぞれ万鬼を率いて、天下に分布させ、凶悪を誅除させるといい、五鬼主それぞれの姓名とつかさどる病名を記している。

東方青炁鬼主姓劉名元達、領万鬼、行悪風之病。
南方赤炁鬼主姓張名元伯、領万鬼、行熱毒之病。
西方白炁鬼主姓趙名公明、領万鬼、行註炁之病。
北方黒炁鬼主姓鍾名士季、領万鬼、行悪毒霍乱心腹絞痛之病。
中央黃炁鬼主姓史名文業、領万鬼、行悪瘡癱腫之病。

……

ここでは、劉元達、張元伯、趙公明、鍾士季、史文業は万鬼を率いてさまざまな病をもたらす「鬼主」である。その名を知れば疫病の害が避けられる。

「女青鬼律」については前の記事でも触れた。

次からは個人的に新情報なので便利。

……
梁の陶弘景撰の『真誥』という神仙のお告げを記録した書の巻十に、「天帝、土下塚中の王気五方諸神の趙公明らに告ぐ。……

ここは趙公明について。

趙公明は五瘟神の一人だけでなく、別系統の神仙でもあったり。

別の論文に詳しいらしい。

で、続いて『太上洞淵神呪経』のとてもためになりそうな引用。

……
道蔵本『太上洞淵神呪経』は、前半十巻は王纂という扶乩(筆占い)の予言を集めたものであり

まずはこの本について確認。

で、内容の引用。

(※『太上洞淵神呪経』から)
巻七 道君がいう。「国土に大鬼主鄧艾、鍾士季、趙山、王莽、李敖、杜週、劉斗烏、王離、夏侯嬰、蔣公琰、南陽葉公里、夏檀支、蕭何、申屠伯、韓信、田進、樑洪、高沛、孫溫、司馬迥、劉元達あり。これらの大鬼が世人をそそのかし、武帝文王を祠祀させ、世間で供養し、立祠が絶えない。おのおの兵馬あり、天下の人のために祟りを作し、祟病殺人す。年年月月、千万種の病をはやらせる。
……

(道言、國土有大鬼主鄧艾、鍾士季、趙山、王莽、李敖、杜週、劉斗烏、王離、夏侯嬰、蔣公琰、南陽葉公里、夏檀支、蕭何、申屠伯、韓信、田進、樑洪、高沛、孫溫、司馬迥、劉元達。有此大鬼、主令世人、或有祠祀、武帝文王。世間供養、立祠不絕。各各有兵馬、為天下人作祟、祟病殺人。年年月
月、行千万種病。或四支(肢)沈重、寒熱下痢、臃腫水腹、黑病頭目悉痛、胸背燠熱、或有黃癉謦欬、嚥喉不通。一切万病、殺人無度矣。)

個人的にはここが一番重要だったかも。

鍾士季の名前があるのはいいとして、三国志系の名前として「鄧艾、蔣公琰(蔣琬)、高沛」があったり。

これは今までみたことなかったから、色々考えてみたくなる情報。

ここで上げられている人名についてはこのように述べられている。

……
個人名のついた鬼主が生前どのような人物であったのか今では分からないのもあるが、多くは敗軍死将の亡魂であったのであろう。

多くは敗軍死将――ってことだけど、有名なところで蕭何とかの名前も含まれているわけだから、全部がそうというわけでもなさそう。

とはいえ、個人的に特に気になるのは「蔣公琰(蔣琬)」だったり。

鄧艾、鍾会(鍾士季)ときたら姜維もいたらいいのになあとはしみじみ思うけれど、今はそれはおいといて。

鄧艾、鍾会はわかりやすい敗軍死将。(今回は高沛については触れない)

では蔣琬(病死)はなぜここにいるのかっていう。

それについてはもう少しじっくり考えたいので、今回はここまで。

続き。

……

(※『太上洞淵神呪経』から)

道君がいう。「これらの人みなことごとく往時の大将、事に任じた人であり、死後それぞれ祠を立てる人がいて、祀るのが止まらない。今伝うるに百鬼がそれにとりつき大衆を為し、人の様子を伺い人々を殺害す。人を水と火のごとく言い争わせ、訴訟ごとが絶えず、突然に襲いかかり、人の大量死がこれまで幾度となく繰り返されてきた。
……
(道言、此等之人、皆悉是往時大將、任事之人、死亡之後、各有人立祠、祀之不止。今伝有百鬼附之、唯成大衆、仍伺人形、便殺害百姓。令人水火口舌、官事万兇。兇來奄殺、人口多死、從來非一。今遣赤盧大禁兵、身長万丈、八十萬人、各領三億万衆、來下收捕此等之鬼王、得便斬殺之、不恕矣。)
……

これらの個人名の人について。
なぜ彼らがこうなったのかとか。

とりあえず全員有名人だったんだろうけどっていう。

続き。

(※『太上洞淵神呪経』から)

巻十一 また劉元達、張元伯、趙公明、李公仲、史文業、鍾仕季、少都符あり、それぞれ五傷鬼精二十五萬人を将て、瘟疫病をはやらせる。……

(又有劉元達、張元伯、趙公明、李公仲、史文業、鍾仕季、少都符、各將五傷鬼精、二十五萬人、行瘟疫病。此等諸鬼王、聞三昧神咒天王、及明羅真人、多聞天女、說三天六天大邪王等、故炁鬼賊、傷精名字、皆大驚怖。)

ここでは五瘟神の5人だけでなく二人名前が追加されてたり。

でもって五瘟神の名前の歴史とか。

……

隋唐時代の文献には、五瘟鬼は見えるが五瘟神という語は見出せない。ところが宋代の文献、たとえば『請益録』に「五瘟使者」の語、『夷堅志』には五人の「瘟神」の記事が見出せるようになる。
南北朝を通じて五鬼主・五方鬼王・五帝などの語で呼ばれていた疫鬼・瘟鬼を統率する頭目の名称が、唐代を経るあいだに劉元達以下の五人の人名としだいに結びつき、疫病をはやらせるだけでなく、疫病の流行を止めもする五瘟神へと変化していったものと推測される。つまり五瘟鬼は隋唐代を通じて五瘟神へと正神化の道を歩き始めたのである。

……

民間信仰では五瘟神と五帝・五霊はほぼ同一の神格のように見なされている。福建・台湾の瘟疫神は五帝と称される。

……

福建の瘟神は五帝ともいうが、また別に五霊公とも号された。

……

らしい。

あとは日本関連(この論文はもとは日本関連)なので、ここでは関係ないので割愛。


とりあえずメモおわり。

蔣琬について、次に考えたいので忘れないようにすること。









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