2017.05.05
3729文字 / 読了時間:4.7分程度
三国志

鍾会の乱と鍾毓についてはなんどか書いたような気もするけれど。
どこに書いたか忘れている現状だし、現時点での解釈(趣味含む)をとりあえずまとめておこうかなとか。

鍾毓年表?

まずは鍾毓の年表的な流れ。

(鍾毓伝)

毓字稚叔。年十四為散騎侍郎、機捷談笑、有父風。
太和(227-)初、蜀相諸葛亮囲祁山、明帝欲西征、毓上疏曰、「夫策貴廟勝、功尚帷幄、不下殿堂之上、而決勝千里之外。車駕宜鎮守中土、以為四方威勢之援。今大軍西征、雖有百倍之威、於関中之費、所損非一。且盛暑行師、詩人所重、実非至尊動軔之時也。」
遷黄門侍郎。
時大興洛陽宮室、車駕便幸許昌、天下当朝正許昌。許昌偪狹、於城南以氈為殿、備設魚龍曼延、民罷労役。毓諫、以為「水旱不時、帑藏空虛、凡此之類、可須豐年。」又上「宜復関内開荒地、使民肆力於農。」事遂施行。
正始(240-)中、為散騎(侍郎)〔常侍〕。
(244 駱谷の役)大将軍曹爽盛夏興軍伐蜀、蜀拒守、軍不得進。爽方欲增兵、毓与書曰、「竊以為廟勝之策、不臨矢石;王者之兵、有徵無戦。誠以干戚可以服有苗、退舍足以納原寇、不必縱呉漢於江関、騁韓信於井陘也。見可而進、知難而退、蓋自古之政。惟公侯詳之!」爽無功而還。后以失爽意、徙侍中、出為魏郡太守。
爽既誅(249)、入為御史中丞、侍中廷尉。聴君父已沒、臣子得為理謗、及士為侯、其妻不復配嫁、毓所創也。
正元中(254-)、毌兵倹、文欽反、毓持節至揚、豫州班行赦令、告諭士民、還為尚書。諸葛誕反、大将軍司馬文王議自詣寿春討誕。会呉大将孫壱率衆降、或以為「呉新有釁、必不能復出軍。東兵已多、可須后問」。毓以為「夫論事料敵、当以己度人。今誕挙淮南之地以与呉国、孫壱所率、口不至千、兵不過三百。呉之所失、蓋為無幾。若寿春之囲未解、而呉国之内転安、未可必其不出也。」大将軍曰、「善。」遂将毓行。臣松之以為諸葛誕挙淮南以与呉、孫壱率三百人以帰魏、謂呉有釁、本非有理之言。毓之此議、蓋何足称耳!
淮南既平(258)、為青州刺史、加后将軍、遷都督徐州諸軍事、仮節、又転都督荊州。
景元四年(263)薨、追贈車騎将軍、諡曰惠侯。子駿嗣。毓弟会、自有伝。

「遷都督徐州諸軍事」は、晋書文帝紀から259年。

(甘露)四年(259)夏六月,分荊州置二都督,王基鎮新野,州泰鎮襄陽。使石苞都督揚州,陳騫都督豫州,鐘毓都督徐州,宋鈞監青州諸軍事。

そして「又転都督荊州」の時期だけれど、「鍾毓荊州都督関連メモ」の記事から261年てことで。

てことでだいたいこんな感じ?

散騎侍郎(14歳)
→黄門侍郎
→(240-)散騎常侍
→(244-)侍中→魏郡太守
→(249-)御史中丞→侍中・廷尉
→(254)尚書
→(258)青州刺史・後将軍
→(259)都督徐州諸軍事・仮節
→(261)都督荊州諸軍事
→(263)死去

あと、鍾毓の生年(享年も)は不明だと思うけれど。

毓字稚叔。年十四為散騎侍郎、機捷談笑、有父風。
太和(227-)初、蜀相諸葛亮囲祁山、明帝欲西征、毓上疏曰……

から、「太和(227-)」以前に14歳だったと考えていいかなあとか。
226年(曹丕没年)に14歳だと、211年生まれという感じ。

父鍾繇の年齢的にはもっと以前に生まれていても全然問題ないわけで、最低でも鍾会(225生まれ)より14歳は年上ってことになるかな。

この考え方をとると。

14歳年上だとすると、鍾会は鍾毓の没年には39歳だから、53歳。
鍾毓は53歳以上だと考えると、死因については病死は全然不自然ではない年齢ではある感じ。

鍾会の乱との関係としては、261年から263年に死ぬまで荊州都督(新野)だったらしいとか。

あと、晋書文帝紀の「(甘露)四年(259)夏六月,分荊州置二都督,王基鎮新野,州泰鎮襄陽。」から、荊州にはもうひとり都督江南諸軍事がいた。

(晋書・陳騫伝)

又轉都督江南諸軍事,徙都督荊州諸軍事

その辺はわりと大事かも。

鍾毓と鍾会の乱の関係?

鍾毓本人は鍾会の乱、あるいは蜀征伐の時、荊州都督で荊州にいた。

ただ鍾毓の子供が鍾会に随行していたり。

(鍾会伝)

会兄子邕,隨会與俱死,会所養兄子毅及峻、辿敕連反。等下獄,當伏誅。
司馬文王表天子下詔曰:
「峻等祖父繇,三祖之世,極位台司,佐命立勛,饗食廟庭。父毓,歴職内外,幹事有績。昔楚思子文之治,不滅斗氏之祀。晋録成宣之忠,用存趙氏之後。以会、邕之罪,而絕繇、毓之類,吾有愍然!峻、辿兄弟特原,有官爵者如故。惟毅及邕息伏法。」
或曰,毓曾密啟司馬文王,言会挾術難保,不可專任,故宥峻等雲。

……
鍾会の兄の鍾毓は、〔景元〕四年(263)の冬に逝去したが、鍾会はけっきょくその訃報に接しないうちに死んだ。
鍾会の兄の子鍾邕も鍾会に随行していたため、いっしょに死んだ。
鍾会が養育した兄の子の毅および峻、辿(てん)らは投獄され、死刑に処せられるところを、司馬文王が天子に上奏したため、詔勅が下った、
「峻らの祖父に当る繇は、三祖のみ世、三公の位まで昇り、建国を助けて勲功を立て、宗廟の前庭にあわせ祭られている。父の毓は内外の官を歴任し、職務を果たして功績をあげた。
昔、楚は子文の治績を思いおこし、鬭氏の祭祀を絶やさなかった。晋は成季(趙衰)・宣孟(趙盾)の忠誠を記憶にとどめ、趙氏の後嗣を立ててやった。
会と邕の罪によって繇・毓の一族を根絶することは悼ましい。峻、辿の兄弟にとくに恩赦を与え、官爵をもとどおりとする。ただ毅と邕の子は法に服せしめよ。」
別の説では、鍾毓が以前司馬文王に内密に具申して、鍾会は策謀にはしりすぎて一貫した態度をとれない男だから、任務を彼一人にまかせるのはよろしくない、と述べた。そのために峻らを許したとのことである。

会兄子邕……これは、「惟毅及邕息伏法」ということで「而絕繇、毓之類,吾有愍然」に該当しない扱いになっているから、この「会兄」は鍾毓とは違うんじゃないかなとか。
鍾毓の字は「毓字稚叔」で鍾会の字が「士季」だから、父鍾繇の生年的にも、その上に字に伯と仲がついた兄がいたと思うし。

だから「会兄子邕」といっても、「邕息」も処刑されているし、鍾会とそれほど年齢が違わない(年上でも)可能性はあるような。

「会所養兄子毅」も、処刑されているから、「会所養兄子毅及峻、辿」と並んでいるけれど、峻、辿とは兄弟ではないんじゃないかなとか。

ここの「峻」は「而絕繇、毓之類,吾有愍然」で救われているから鍾毓の子だと思うけれど、鍾毓伝の「子駿嗣」の「駿」と多分同一人物なんじゃないかなあとか。文字似てるし。

てことは、鍾会は鍾毓の嫡子も蜀に連れて行っていることになるような。

鍾会が鍾毓の子を蜀征伐に連れて行った理由?

この理由については単に、身内を大事業(蜀征伐)に参加させてあげる的な身内への親切さと考えてもいいかもしれないけれど。

他の可能性も考えられないわけでもないし、趣味的にはそっちの方が好みなので、脳内解釈は別の理由があるということになっていたり。

鍾会伝のこれ。

初,文王欲遣会伐蜀,西曹屬邵悌求見曰:
「今遣鍾会率十餘萬衆伐蜀,愚謂会單身無重任,不若使餘人行。」

最初、文王が鍾会を蜀討伐に派遣しようとしたとき、西曹屬の邵悌がめどおりを願って意見を述べた、
「今、鍾会に十余万の軍勢を指揮させて蜀討伐に派遣させるとのことですが、鍾会はひとり身ですから〔制度上、都に置いてある〕人質を大事にしないだろうと、私は考えます

鍾毓の子供について、人質という要素をとりいれると、鍾会は鍾毓の子供を人質として連れて行ったとかないかなあとか。

人質の目的としては、自分の計画に鍾毓も協力させるためだったとか?

(鍾会伝)

欲使姜維等皆将蜀兵出斜谷,会自将大衆隨其後。既至長安,令騎士從陸道,歩兵從水道順流浮渭入河,以為五日可到孟津,與騎会洛陽,一旦天下可定也。

彼のもくろみは、姜維らに蜀兵を全部ひきつれて斜谷に出撃させ、鍾会自身は大軍をひきいてその後に続く、長安に達したあと、騎兵隊に命じて陸路を進ませ、歩兵隊には水路を通らせ、流れにしたがって渭水に船を浮かべ黄河に入れば、五日で孟津にたどりつける、騎兵と洛陽でおちあい、またたくまに天下を平定できる、というものだった。

とりあえずこの計画の実現のためには、新野にいる荊州都督(兄の鍾毓)を予め味方にするとか少なくとも人質とって邪魔をしないようにしておくとか、そういった準備を行っておくというのは、鍾会の計画が入蜀前からのものだったと考えるかぎり(そういう解釈とってるし)、むしろ自然な流れなんじゃないかなとか。

あるいは鍾毓が荊州にいることも。少なくともその前の徐州とかだと益州にも洛陽にも遠いから、あんまり鍾会には役に立たないと思うし。

まとめ

わりと創作よりの趣味のはいった解釈ではあるかも。

人質ってロマンある気がするし。

で、創作の話。

とりあえずこんな解釈(一応)での鍾会の乱のときの鍾毓のお話が書き途中のまま2年か3年はたっているような。

長編にしようとしたのが自分の場合最悪な選択だったと思うけれど、どうにかなるかなあ。

鍾会の乱はたくさん書きたいので(ブログ含む)、そのうちまた色々考えたいとは思っていたり。

とりあえずおわり。





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