2016.01.02
1453文字 / 読了時間:1.8分程度
三国志

李厳伝の注にあるこの諸葛亮の手紙関連。

李厳伝注

諸葛亮集有厳与亮書、勧亮宜受九錫、進爵称王。
亮答書曰、
「吾与足下相知久矣、可不復相解!足下方誨以光国、戒之以勿拘之道、是以未得默已。
吾本東方下士、誤用於先帝、位極人臣、祿賜百億、今討賊未效、知己未答、而方寵斉、晋、坐自貴大、非其義也。
若滅魏斬叡、帝還故居、与諸子併升、雖十命可受、況於九邪!

(ちくま訳)

『諸葛亮集』に李厳が諸葛亮に送った手紙が掲載されている。
それには諸葛亮に九錫(勲功ある者に特に賜わる九つの特典)をうけ、爵位を進めて王と称するべきだと勧めている。
諸葛亮の返書には次のようにある。
「私と足下とは知りあってから長くなりますが、それでも理解していただけないのでしょうか。足下はいま国家をかがやかせよと教示され、かたくなになるなと戒めておられます。だからこそ私は黙っているわけにはいかないのです。
私はもともと東方の下級士人の身分でしたが、誤って先帝に用いられ、位は人臣を極め、百億の俸禄を賜っております。現在、賊を討伐しても効果なく、知遇に対してお答えもできずにおりますのに、〔春秋時代の〕斉・晋にも匹敵する恩寵(九錫)をお受けし、何もせずに自分からすすんで高貴な身分となることは、同義にはずれる行為です。
もしも魏を滅ぼし、曹叡(明帝)を斬って、天子がもとの皇居にお戻りになり、諸君とともに出世するのならば、十の特別待遇でもお受けする所存です。まして九つの特別待遇ならなおさらです。〔遠慮しません〕

この手紙によると、諸葛亮は、魏を滅ぼしたら九錫どころか十錫でも受けるつもりだと言っていたり。

これはどんなつもりで言ったんだろうとか。

この頃諸葛亮は死ぬまで北伐に精を出していて当人はそれは成功する予定を持っていて、ただ結果的には成功しなかった、という風に考えているのだけれど。

これの手紙のことを考えると、「もしも魏を滅ぼし、曹叡(明帝)を斬って、天子がもとの皇居にお戻りになり」というのは、諸葛亮自身は本当にあり得る未来ではなくてそれほど可能性は高くないと考えていたのかなあとも思ったり。

あるいは魏を滅ぼすことができるに違いないと考えていたとすれば、諸葛亮は王になって十錫受ける、と言っていることになるわけだけど。これだと曹操以上なような。

だから素直に読めば、諸葛亮の考えとしては、出師の表の悲壮感に伺えるように北伐については楽観的ではないけれど国是として必ず成し遂げなければならない、という感じなのかなあとも。

あんまり素直じゃなく読めば、北伐成功したら王になってやがて皇帝になるつもりな諸葛亮、といったところかなあ。

あと。

「私はもともと東方の下級士人の身分でしたが、誤って先帝に用いられ、位は人臣を極め、百億の俸禄を賜っております」について、百億の俸禄って、百億って数字が気になったり。
今の日本円なら国としては百億とかは珍しくない数字だけど、この頃、百億っていう数字が使われるとしたらその単位は何なのかなとか。それともこれは単なる誇張なのか。誇張だとしたら百億ってよく使われるのかなとか。

そんなことを考えたり。

あと、「東方の下級士人」の「東方」というのは、荊州も東ではあるけれど多分それよりは徐州出身だから徐州は蜀から東方あるいは中国自体の東端だからな気がするけれど、ここでわざわざ「東方」というのは、蜀からすると外国的な遠方の土地出身だということを意識しているということなのかなとか。

とりあえず終わり。

(旧ブログ2015.2.11記事移転)









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