ミステリー小説書くのは今回初だったり。
てことで、基本の確認を改めてしておこうかなとか。
三国志の時代、鍾会と阮籍が奇妙な殺人事件の謎に挑む。歴史ミステリ。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054880810751
(カクヨム)
三国志の時代、鍾会と阮籍が奇妙な殺人事件の謎に挑む歴史ミステリーです。
鍾会主人公の三国志+ミステリっぽい小説の連載をはじめました。
読んでいただければうれしいです。よろしくお願いします。
ミステリー小説(推理小説)の原則?
ミステリ小説、ミステリー小説、推理小説、探偵小説……といろいろ呼び方あってややこしいけれど。
基本的には同じものをさすってことでいいのかなあ。
そして、ミステリー小説の原則として有名なのは次の二つかな。
ノックスの十戒?
これは10の原則だし、わりと基本的なものが揃っているといえるかも。
だから、まず頭にいれておくのはこの「ノックスの十戒」がよさそう。
ノックスの十戒
- 犯人は物語の当初に登場していなければならない
- 探偵方法に超自然能力を用いてはならない
- 犯行現場に秘密の抜け穴・通路が二つ以上あってはならない(一つ以上、とするのは誤訳)
- 未発見の毒薬、難解な科学的説明を要する機械を犯行に用いてはならない
- 中国人を登場させてはならない[2]
- 探偵は、偶然や第六感によって事件を解決してはならない
- 変装して登場人物を騙す場合を除き、探偵自身が犯人であってはならない
- 探偵は読者に提示していない手がかりによって解決してはならない
- “ワトスン役”は自分の判断を全て読者に知らせねばならない
- 双子・一人二役は予め読者に知らされなければならない
[2]^ フー・マンチューのような万能の怪人のことを指す
ただし自分の場合、三国志で歴史ミステリー書きたい(読みたい)と思ってるわけで、「中国人を登場させてはならない」は無理……。
ヴァン・ダインの二十則?
数が倍の20ある「ヴァン・ダインの二十則」は、わりと細かいことも多い感じ。
ただ全部クリアすることは、それ自体様式美として達成感はあるかも。
ヴァン・ダインの二十則
- 事件の謎を解く手がかりは、全て明白に記述されていなくてはならない。
- 作中の人物が仕掛けるトリック以外に、作者が読者をペテンにかけるような記述をしてはいけない。
- 不必要なラブロマンスを付け加えて知的な物語の展開を混乱させてはいけない。ミステリーの課題は、あくまで犯人を正義の庭に引き出す事であり、恋に悩む男女を結婚の祭壇に導くことではない。
- 探偵自身、あるいは捜査員の一人が突然犯人に急変してはいけない。これは恥知らずのペテンである。
- 論理的な推理によって犯人を決定しなければならない。偶然や暗合、動機のない自供によって事件を解決してはいけない。
- 探偵小説には、必ず探偵役が登場して、その人物の捜査と一貫した推理によって事件を解決しなければならない。
- 長編小説には死体が絶対に必要である。殺人より軽い犯罪では読者の興味を持続できない。
- 占いとか心霊術、読心術などで犯罪の真相を告げてはならない。
- 探偵役は一人が望ましい。ひとつの事件に複数の探偵が協力し合って解決するのは推理の脈絡を分断するばかりでなく、読者に対して公平を欠く。それはまるで読者をリレーチームと競争させるようなものである。
- 犯人は物語の中で重要な役を演ずる人物でなくてはならない。最後の章でひょっこり登場した人物に罪を着せるのは、その作者の無能を告白するようなものである。
- 端役の使用人等を犯人にするのは安易な解決策である。その程度の人物が犯す犯罪ならわざわざ本に書くほどの事はない。
- いくつ殺人事件があっても、真の犯人は一人でなければならない。但し端役の共犯者がいてもよい。
- 冒険小説やスパイ小説なら構わないが、探偵小説では秘密結社やマフィアなどの組織に属する人物を犯人にしてはいけない。彼らは非合法な組織の保護を受けられるのでアンフェアである。
- 殺人の方法と、それを探偵する手段は合理的で、しかも科学的であること。空想科学的であってはいけない。例えば毒殺の場合なら、未知の毒物を使ってはいけない。
- 事件の真相を説く手がかりは、最後の章で探偵が犯人を指摘する前に、作者がスポーツマンシップと誠実さをもって、全て読者に提示しておかなければならない。
- よけいな情景描写や、わき道にそれた文学的な饒舌は省くべきである。
- プロの犯罪者を犯人にするのは避けること。それらは警察が日ごろ取り扱う仕事である。真に魅力ある犯罪はアマチュアによって行われる。
- 事件の結末を事故死とか自殺で片付けてはいけない。こんな竜頭蛇尾は読者をペテンにかけるものだ。
- 犯罪の動機は個人的なものがよい。国際的な陰謀とか政治的な動機はスパイ小説に属する。
- 自尊心(プライド)のある作家なら、次のような手法は避けるべきである。これらは既に使い古された陳腐なものである。
- 犯行現場に残されたタバコの吸殻と、容疑者が吸っているタバコを比べて犯人を決める方法
- インチキな降霊術で犯人を脅して自供させる
- 指紋の偽造トリック
- 替え玉によるアリバイ工作
- 番犬が吠えなかったので犯人はその犬に馴染みのあるものだったとわかる
- 双子の替え玉トリック
- 皮下注射や即死する毒薬の使用
- 警官が踏み込んだ後での密室殺人
- 言葉の連想テストで犯人を指摘すること
- 土壇場で探偵があっさり暗号を解読して、事件の謎を解く方法
ミステリー小説の定義を自分なりに考えてみる
いろいろな考え方があるみたいだし、とりあえず自分の定義を考えてみることは、有益なんじゃないかなとか。
てことで、ミステリー小説の定義について。
ミステリー小説らしさが一つも含まれていないミステリー小説が成立することは不可能である――みたいな根本的な原則はあるのだろうという推測の上で考えてみる。
ミステリー小説(推理小説、探偵小説と同義)の定義は、謎、推理、探偵役の人物――の3つが揃っているということではないのか。
あとは、パズル要素、論理要素が含まれると、ミステリー小説っぽさがあがる、みたいな?
また、フェアという概念、スポーツマンシップという概念も、ミステリー小説らしさを向上させる要素ではあると思ったり。
ただし、この辺は、必要条件というわけでもないんじゃないかなとか。
てことでミステリー小説の定義を試みてみると……。
- ミステリー小説を成立させるために不可欠な要素――謎、推理、探偵役の3要素
- ミステリー小説らしさを向上させる要素――パズル、論理、フェアという概念、スポーツマンシップ、死体、密室、暗号等
自分的には、こんな感じで考えていたり。
ミステリー小説っぽさを、手軽に出すには、ミステリー小説らしさを向上させる要素をできるかぎり詰め込むことかも。
困ったら死体を転がす、みたいな。
まとめ
ミステリー小説を読んだり書いたりするときに、死体や殺人事件が出てこないと物足りないというのは、倫理観とはまた別の話なのは確か。
たいていの場合、殺人事件が「ミステリー小説を成立させるために不可欠な要素」の「謎」だから、それが未登場であるということは、厳密にはミステリー小説として成立していない宙吊り状態みたいなものだという感覚。
とりあえず、今の考えはこんな感じ。
原則は、つまったら眺めたらよさげ。
おわり。