小説公開できた……
1月18日は鍾会の乱の日。
ということで、今月鍾会の乱気分で書いていた小説。
鍾会の乱っぽい短編「肝臓探し」、やっと公開までたどりついた……。
新しく公開しました
肝臓探し – 帽子の中のふにゃふにゃな歴史 – カクヨム https://t.co/R8oaxn9Ih2
死後亡霊状態になった姜維が劉備の亡霊と会ったり、鍾会のさらされている死体を眺めたり、失くした肝臓を探したり……。— medamayaki🍳 (@medamayaki1) 2017年1月31日
内容的には鍾会の乱前後、姜維主人公(ただしほぼ亡霊)という感じ。
あらすじ。
死後亡霊状態になった姜維が劉備の亡霊と会ったり、鍾会のさらされている死体を眺めたり、失くした肝臓を探したり……。
鍾会の死体?
鍾会で書きたいなあと思っていたもののひとつが、死後死体がさらされている時のことだったり。
(鍾会伝注)
漢晋春秋曰:
文王聞鍾会功曹向雄之收葬会也,召而責之曰:「往者王經之死,卿哭於東市而我不問,今鍾会躬為叛逆而又輒收葬,若復相容,其如王法何!」雄曰:「昔先王掩骼埋胔,仁流朽骨,當時豈先卜其功罪而後收葬哉?今王誅既加,於法已備,雄感義收葬,教亦無闕。法立於上,教弘於下,以此訓物,雄曰可矣!何必使雄背死違生,以立於時。殿下讎對枯骨,捐之中野,百歲之後,為臧獲所笑,豈仁賢所掩哉?」王悅,與宴談而遣之。習鑿齒曰;向伯茂可謂勇於蹈義也,哭王經而哀感市人,葬鍾会而義動明主,彼皆忠烈奮勁,知死而往,非存生也。況使經、会處世,或身在急難,而有不赴者乎?故尋其奉死之心,可以見事生之情,覽其忠貞之節,足以愧背義之士矣。王加禮而遣,可謂明達。
今回とりあえず書けたけれど、もう少し書きたいな。
というか毎年書けたら理想かも。
劉備くらいにはなれる?
この短編を思いついたそもそものきっかけの部分はこれ。
(鍾会伝)
会得書,驚呼所親語之曰:
「但取鄧艾,相国知我能獨辦之;今來大重,必覺我異矣,便當速發。
事成,可得天下;不成,退保蜀漢,不失作劉備也。
我自淮南以來,畫無遣策,四海所共知也。我欲持此安歸乎!」……
事が成功すれば、天下を手に入れることができようし、成功しなくても退いて蜀漢を保持すれば、まちがっても劉備ぐらいにはなれるだろう。
……
多分、自分が鍾会が気になるきっかけになったのはこの台詞だったと思う。
元々は蜀好き(というか演義好き)なので、は??????? という第一印象だった。
自分の場合、大抵の場合何かを好きになるためには悪い第一印象は大事(リアルの話ではない)。
直観的なものが壊れているのか元々性能が悪いのか効率悪いとは思うけど、まあそれはおいといて。
で、鍾会が劉備に変化するお話書けないかなあと思って、出来たのがこの短編だったり。
で、鍾会が劉備に変化するイメージは、この雀が蛤になるのとか。
雀が蛤になる出典探してた。国語晋書九のこれでいいのかな。
趙簡子嘆曰:「雀入于海為蛤,雉入于淮為蜃。黿鼉魚鱉,莫不能化,唯人不能。哀夫!」https://t.co/aVxurLIAP1— medamayaki🍳 (@medamayaki1) 2017年1月8日
これは俳句の季語にもなっているから有名だけど、国語、色々楽しい話多いからまた読み直したいなあと思ったり。
ていうか学校の科目としての「国語」、まぎらわしいなあと思ったり。日本語じゃだめだったのか。
肝臓?
タイトルにも入っている肝臓。
(姜維伝注)
世語曰:維死時見剖,膽如(斗)大。
膽は諸葛瞻の瞻と似ててまぎらわしいなあと思ったけれど、とりあえず膽は肝臓でいい気がするってことで肝臓。
タイトルになっているわりには鍾会の死体がさらされているのは都だと思うので、洛陽に移動させたかったという部分が大きいけれど。
薬?
衛瓘は衛瓘伝の病弱設定、薬飲む設定を、前回のクリスマス短編「衛瓘と四不象が聖夜に出会う物語」につづいて採用。
衛瓘も地味に登場回数多いというか前回は主人公だったし。
司馬昭は前回は鍾会から五石散を贈られる記述のみ登場だったけれど、今回は衛瓘に漢方薬を贈られる記述のみ登場という感じ。
姜維の肝臓は衛瓘によって薬にされた設定。
人体を素材とした漢方薬は、明の時代のものだけれど「本草綱目」にかなりたくさん収録されていたり。
これにはそもそも「人部」があるし、「人膽」も収録されていたり。
てことで、三国時代になかったということでもなければまあいいかなとかで採用。
グロさの基準?
それはそうと。
短編集は一応「残酷描写有り」に設定しているけれど。
歴史物のこの辺の基準って迷う。
まあこういうのは避けたい人用だと思ってるから、一応つけてるけど。
今回は幽霊主人公なのはまあいいとして、描写は特にしてないけれど一応ぐろいといえばぐろいのかなあ。
不如帰?
あと不如帰も登場したので書いておくことに。
ホトトギスは色々別名あるけれど、その故事は華陽国志とかにある蜀王の話だったり。
(華陽国志、蜀志)
後有王曰杜宇,教民務農。一號杜主。時朱提有梁氏女利,游江源。宇悅之,納以為妃。移治郫邑。或治瞿上。【七】〔巴〕國稱王,杜宇稱帝。〈七國稱王,在周顯王世,距滅蜀只數十年,杜宇死已四百餘年矣。七字,應是巴之譌。形近,時間亦合。〉號曰望帝,更名蒲卑。〈元豐本作郫。他各本作卑。〉自以功德高諸王。〈此句釋稱帝,當斷。〉乃〈指杜宇時。〉以褒斜為前門,熊耳、靈關為後戶,玉壘、峨眉為城郭,江、潛、綿、洛為池澤;以〈于文當衍。各本有,宋姚寬《西溪叢語》卷下引無。〉汶山為畜牧,南中為園苑。會有水災,〈錢寫本作火災。〉其相開明,決玉壘山以除水害。帝遂委以政事,法堯舜禪授之義,【遂】〈舊本皆有,當衍。《西溪叢語》卷下引無。〉禪位於開明。帝升西山隱焉。時適二月,子鵑鳥鳴。故蜀人悲子鵑鳥鳴也。〈《西溪叢語》引此句作:「蜀人悲之,故聞子鵑之鳴,即曰望帝也。」較長。〉巴亦化其教而力農務。迄今巴蜀民農,時先祀杜主君。〈廖本此下注云「當作若」,意謂當連下「開明」讀。又重「開明」字。無取。〉
三国志の蜀も好きだけど、縦目仮面のビジュアルも好きなので蜀自体も結構興味深い感じだったり。
あと、三国志の蜀の呼び方のこと。
当事者は漢といっていたわけだから色々呼び方はあるけれど。
個人的には単に魏蜀呉と1文字ずつの方がきれいだということもあって、基本的には蜀と呼んでいる気はする。
とはいっても小説の場合、当事者の台詞をどうするかは悩む。
姜維主人公?
今回は一応鍾会の乱テーマになるのかな。
姜維は好きだけれど、あんまりイメージはつかめない印象だったり。
今回個人的には少しは自分なりの輪郭浮かんできたかなあという気分。
その他
あとは曹操の詩は有名な短歌行だし、まあ書かなくてもいいかな。
あと徐庶が仙人になった説好き。
おわりに
とりあえず体調悪いで終わった一月だった。
当面は月1で何か公開できれば現状ましなほうかも。
おわり。