郤正の生年はいつくらいかなあとか。
郤正伝
郤正字令先、河南偃師人也。
祖父倹、霊帝末為益州刺史、為盜賊所殺。会天下大乱、故正父揖因留蜀。
揖為将軍孟達都督、隨達降魏、為中書令史。
正本名纂。
少以父死母嫁、単煢雙立、而安貧好学、博覽墳籍。
弱冠能属文、入為秘書吏、転為令史、遷郎、至令。
性淡於栄利、而尤耽意文章、自司馬、王、揚、班、傅、張、蔡之儔遺文篇賦、及当世美書善論、益部有者、則鑽鑿推求、略皆寓目。自
在内職、与宦人黄皓比屋周旋、経三十年。
皓従微至貴、操弄威権、正既不為皓所愛、亦不為皓所憎、是以宮不過六百石、而免於憂患。……
祖父の郤倹は、霊帝の末年、益州刺史となったが、盗賊のために殺された。ちょうど天下が大乱に陥ったので、郤正の父郤揖はそのまま蜀に留まることになった。郤揖は将軍孟達の営都督となり、孟達に従って魏に降伏して、中書令史となった。
郤正はもとの名を郤纂といった。
若いころ父が死に母が再婚したので、一人ぼっちで暮しを立てていたが、貧乏に安んじ学問を好み、広く古典を読破した。
二十歳にして巧みに文章を書くことができ、宮廷に入って秘書吏となり、転じて〔秘書〕令史となり、〔秘書〕郎に昇進し、〔秘書〕令に昇った。
……
宮廷内の官職についてより、宦官の黄皓と屋敷を並べて立ち働くこと、三十年にわたった。
とりあえず郤正伝はこんな感じ。
てことで考えてみる。
郤正は元々は益州の人ではなくて河南の人。
益州に残っていた郤正父は孟達に従って魏に降ったけれど、この時郤正は母親ともども益州に残ってたのかな。母親が再婚したとあるし郤正が父親と一緒に魏に行ってからまた益州に戻ってくるというのも、元々益州人じゃない以上なんかおかしい気がするし。
なので郤正はずっと益州にいたんだろうなとか。
てことで郤正父は妻子を残して魏に降ったけど、その後早死したのかな。「少以父死」ってあるし。いなくなっただけで死んだも同然だってだけかもしれないけれど、どっちにしても郤正的には大した差はなさそうだからまあいいや。
で、郤正母はそんな感じだったから再婚していなくなって、郤正は一人暮らしをしてたとか。
「弱冠能属文、入為秘書吏」ってことで、弱冠が二十歳ってことで解釈すると、この頃は既に劉備は皇帝になってたんだろうなとか。
次に「在内職、与宦人黄皓比屋周旋、経三十年」。
黄皓は蜀滅亡（263年）まで生きてたから、この三十年というのがきっちり三十年だと取るなら、233年に郤正は仕官したと考えてもいいのかなとか。
てことで、この弱冠=二十歳、三十年=文字通り三十年（29年とか31年なら文字通りな気がするけどきりがいいと三十年くらいな気もするけど）と解釈すれば、50歳の時に蜀滅亡、って考えていいのかも。
数えだからええと、214年生まれということに？
とりあえず郤正の場合仕官の年が20歳以下ってことはなさそうだから、少なくとも214年以前に生まれていると考えていいんじゃないかなあとか。
郤正年表？
てことで、個人的郤正年表を作ってみるとこんな感じになるのかな。
●郤正年表（暫定）
214年 1歳 誕生
219年 6歳 父、孟達に従って魏へ降り、生き別れ
221年 8歳 蜀建国（幼少の頃、母が再婚して一人暮らし）
233年 20歳 蜀に仕官
263年 50歳 蜀滅亡、降伏文書作成
264年 51歳 劉禅に従って洛陽へ行き、劉禅に蜀が恋しいといった方がいいと助言
278年 65歳 死去（関内候になって、泰始中、安陽令、巴西太守になった後）
蜀に30年、西晋に15年仕えた感じかも。
ゲームの郤正
三国志11だと、生年は208年になってるっぽい。
これどういう理由なのかなあ。
http://www4.atwiki.jp/sangokushi11/pages/365.html
気になるけど…。
とりあえずメモ。
河南の人
あと、ついでに。
郤正は益州で生まれ育ったと思うけど、元々は河南の人だったり。
てことで「後主東遷洛陽、時擾攘倉卒。蜀之大臣無冀従者、惟正及殿中督汝南張通、捨妻子単身隨侍。」つまり劉禅が洛陽に移送されるとき蜀の大臣たちは全然ついていかなかったけど郤正は妻子を捨てても随身したというエピソードがあるけれど、郤正自身は元々洛陽近辺（洛陽は河南）の出身だったことを考えれば、多少は郤正には個人的な面でも洛陽に行く理由がなくはないところはあるような気はしたり。
あと、「捨妻子」っていうのは別にこの頃の価値観だと、薄情だとか咎めるようなものでは全然なくて単に普通の人間はそれらに執着するものだからそれらを捨ててまでという美談の時に使うものっぽい感じなのかなあ。
とりあえずおわり。
（旧ブログ2014.10.16記事移転）