2016.10.29
2785文字 / 読了時間:3.5分程度
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パラケルスス
『奇跡の医の糧 医学の四つの基礎[哲学・天文学・錬金術・医師倫理]の構想』

の読書メモ。

解説より

本書『奇跡の医の糧 医学の四つの基礎[哲学・天文学・錬金術・医師倫理]の構想』は、パラケルススの著作、パラ三部作の2つめ。

パラ三部作

ヴォルーメン・パラミールム(Volumen paramirum)
パラグラーヌム(Paragranum)
オプス・パラミールム(Opus paramirum)

邦題は「奇跡の医の糧」だけど、原題は「Paragranum」(パラグラーヌム/パラグラヌム)。カタカナの方も覚えておくこと。

目次

パラケルススの本文関連の目次はこんな感じ。

序文

第一巻 医学第一の基礎――哲学

 第一章 哲学と自然
 第二章 哲学と思弁
 第三章 天と地
 第四章 偽りの哲学
 第五章 真なる哲学

第二巻 医学第二の基礎――天文学

 第一章 アナトミーとカオス
 第二章 天体と人体
 第三章 天と医術
 第四章 天と病気

第三巻 医学第三の基礎――錬金術

 第一章 天と錬金術
 第二章 アルカナについて
 第三章 熟成の作用について
 第四章 病気とアルカナ
 第五章 結び

第四巻 医学第四の基礎――医師倫理

 第一章 医師のあるべき姿
 第二章 医師と神
 第三章 医師と医術
 第四章 結び

悪口?

序文からはじまって、本文も最初から最後まで、悪口がかなりの頻度(序文はそれがメインなのか)が挟まれているのが楽しい。
ただし、読みづらいとも。
悪口がはじまったら、悪口を読みたい気分でない時には読み飛ばさないと意味がよけいわからなくなるような。

この悪口の事情は、解説によるとこんなかんじ。

(執筆の経緯について)

 バーゼル大学教授職を追放された後、パラケルススは断続的にこの本を執筆し、一五三〇年の春、ニュルンベルク近くのベリッツハウゼンでようやく完成した。この時期の彼の新編状況はどうだったのだろうか。重要な点は、本書が栄光から苦境のどん底に突き落とされた激変のなかで執筆されたということである。
 パラケルススはバーゼル大学医学部教授に就任すると、一五二七年の大学の講義要項で、ガレノスやアヴィケンナなどの教条主義的な医学に対する挑戦を予告した。医学が過去の権威的著作の無批判的な受け入れに終止していることを、彼は痛烈に非難し、自分自身の経験とそれに基づく真実の知識によって徹底的な医学改革をすることに着手した。しかし無残にもそれは失敗した。彼はバーゼル大学を追われる身となり……(略)
その逃亡先で完成したのが、われわれの『奇跡の医の糧』である。こうした追い詰められた状況下で執筆されたことを考慮に入れなければ、この書によくでてくるパラケルススの下品で差別的できわめて感情的な言葉に気を取られてしまい、この本の真価を見失ってしまうかもしれない。しかし……

訳者の人も「この書によくでてくるパラケルススの下品で差別的できわめて感情的な言葉に気を取られてしまい、この本の真価を見失ってしまうかもしれない」といっていたり。

それくらいの頻度で挟まれているのが、印象的。

メモ(医学第一の基礎、哲学)

この悪口の登場ぐあいを見る上でも都合がいいので、第一巻、第一章の冒頭から引用してみることに。

第一巻 医学第一の基礎――哲学

 第一章 哲学と自然

 医術の基礎は哲学にある。だから、私たちすべての者がまず第一に知らなければならないのは、医術の基礎がどのように哲学から得られるか、ということである。これが語られないうちは、彼らは、間に合わせの必要にかられて偽りの哲学を広げて見せるだけである。そういう哲学で私に反抗できるというのだろうか。この者たちは、私にただ反抗的になるにすぎないであろう。彼らは偽りの哲学から生まれたのに、それでも自分たちを正しいと思っている。だから今までと同様に、哲学の残りかすが、つまり苔とかあぶくといったものが私に反抗しているにすぎない。しかしそれが無能さの本性だ。要するに彼らは、さながら壺の中にぶくぶく浮きあがるあぶくのようだ。あぶくとは汚れた灰汁(捨てさるべきかす)にほかならない。あぶくは良質なものから離れて浮かび上がり、高く飛んでいき、落下して灰や糞尿の中に入る。だからスープは良質なものとして壺の中に残る。つまり偽りの哲学者たちはあぶくのように泡立って、糞溜まりに放り込まれるが、私と私の哲学は後に残るであろう。スープを飲む者たちは、もはや今までのようにあぶくのスープによってではなく、私たちのスープによって満腹するだろう。というのも、まさにあぶくのような医師たちだけが、棒で打たれながら豚の飼葉桶に放り込まれることになっているからである。
 ところで、哲学とは本来次のような在り方をする。病気の種類・素材・特性、これらすべての本質もことごとく、他の学芸からではなく哲学から、つまりただひたすら哲学からのみ理解される、というような在り方である。こういう哲学からではなく他の仕方で基礎が獲得されるなら、それは嘘偽りである。……

強調(太字)に変えてみた部分が本題にかかるもので、それ以外は悪口で、とりあえずパラケルススの個人的事情に興味がなければ読み飛ばしてよさそうな箇所といえそう。

てことで、比率的にも悪口はたまにという程度ではないということ。

ただ、個人的にはこのパラケルススの悪口部分も楽しかったり。

とはいえ、今回のメモはそれ以外を中心にする予定。

(第二章 哲学と思弁)

まず第一に医師は、天と地を素材・種類・本質において知らなければならない。これに精通することで、彼は、医術の中に足を踏み入れることができる。

(第三章 天と地)

それではここで私は、その哲学を説明するつもりである。医術の入口としては、医師とは何であるべきか、ということをドイツ語で説明する。特殊なものが取り上げられても、誰でもわかりやすいようにするためである。したがって哲学は、以下のようなものとして教えられるべきだ。すなわち、哲学においてこそ、人間全体の姿がはっきりと立ち現れてくる。また、哲学においてこそ、人間はあらゆる病気や事故、健康や苦しみ、四肢などすべての運動器官、身体のあらゆる部分がよくわかる。……

ところで、私が描く哲学者像とは、次のようなものである。哲学者は、天と地という二つの道において、つまり天と地とそれぞれの勢力圏から成長する。片方の勢力圏だけではその成長は半端な形で始まり、両方そろって成長は完全な形で始まる。……

いろいろ他にたくさん重要なことがかいてあるけれど、引用する手間の都合で割愛。

(第二巻 医学第二の基礎――天文学 第一章 アナトミーとカオス)

ひよことかたまごとか。

おもしろいけど今のところは引用は飛ばす……。

まとめ

とりあえず疲れたので、今回はここまで。

続きのメモもとりたいな。

おわり。





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