2016.01.02
2180文字 / 読了時間:2.7分程度
三国志

李賀の詩のなかの三国志関連なもの

『李賀詩選』(岩波文庫)より。

この本は李賀の詩全部収録しているわけじゃないけれど。
あとがきによると、全部で241残っててこの本は67首収録。

だから他にもあるかもしれないけれど、とりあえずこの『李賀詩選』のなかだけで三国志関連のものがいくつかあったり。

①李憑箜篌引
http://zh.wikisource.org/wiki/%E6%9D%8E%E6%86%91%E7%AE%9C%E7%AF%8C%E5%BC%95

吳絲蜀桐張高秋,空山凝雲頹不流。
江娥啼竹素女愁,李憑中國彈箜篌。
崑山玉碎鳳凰叫,芙蓉泣露香蘭笑。
十二門前融冷光,二十三絲動紫皇。
女媧煉石補天處,石破天驚逗秋雨。
夢入神山教神嫗,老魚跳波瘦蛟舞。
吳質不眠倚桂樹,露腳斜飛濕寒兔。

※注で「呉質」は「呉剛」の誤りであるとされる、とあるけれど。とりあえずテキストは「呉質」なので「呉質」と読むこと自体はできなくはないだろうし。論文で李賀は呉質で作った、とか主張するわけでもないんだし。開かれたテクストといっておけばよさげ?


②春坊正字剣子歌

http://baike.baidu.com/view/260685.htm
……
曾入呉潭斬竜子(かつてごたんにいりてりゅうしをきる)
……

※世説新語自新篇の周処の故事。この人は周魴の子で呉から西晋の人だけど、世説新語のが有名なような。てか三国志にのってたっけ。って調べたらちくま6と7に一応載ってるぽい。索引によると。


③金銅仙人辭漢歌並序

http://zh.wikisource.org/wiki/%E9%87%91%E9%8A%85%E4%BB%99%E4%BA%BA%E8%BE%AD%E6%BC%A2%E6%AD%8C%E4%B8%A6%E5%BA%8F

魏明帝青龙元年八月,诏宫官牵车西取汉孝武捧露盘仙人,欲立置前殿。宫官既拆盘,仙人临载乃潸然泪下。唐诸王孙李长吉遂作《金铜仙人辞汉歌》。

茂陵劉郎秋風客,夜聞馬嘶曉無跡。(茂陵劉郎は武帝のこと)
畫欄桂樹懸秋香,三十六宮土花碧。
魏官牽車指千里,東關酸風射眸子。
空將漢月出宮門,憶君清淚如鉛水。
(虚しく漢月とともに宮門をいずれば、君をおもいてせいるいは鉛水のごとし)
衰蘭送客咸陽道,天若有情天亦老。
攜盤獨出月荒涼,渭城已遠波聲小。

※これは完全に三国志の出来事を題材にしたもの。明帝が銅人を移動させた故事。明帝紀の注にあったかんじ。

(明帝紀注)

  魏略曰、是歳(景初元年)、徙長安諸鍾虡、駱駝、銅人、承露盤。盤折、銅人重不可致、留於覇城。大発銅鑄作銅人二、号曰翁仲、列坐於司馬門外。又鑄黄龍、鳳皇各一、龍高四丈、鳳高三丈余、置内殿前。起土山於芳林園西北陬、使公卿群僚皆負土成山、樹松竹雜木善草於其上、捕山禽雜獸置其中。
  漢晋春秋曰、帝徙盤、盤折、声聞数十里、金狄或泣、因留覇城。魏略載司徒軍議掾河東董尋上書諫曰、「臣聞古之直士、……

李賀詩選の注にもかいてあるけれど、序の青龍は誤り。景初元年。あと、注にあって面白いのは「青竜元年を九年に作るテキストがあるが、青竜は五年までしかない」っていうの。これ九年説をとってみるのもよさげ(学問的じゃなくて鑑賞として)。


④後園鑿井歌

井上轆轤床上転
水声繁
弦声浅
情若何
荀奉倩
城頭日
長向城頭住
一日作千年
不須流下去

※「荀奉倩」は荀粲(荀彧の子)のこと。……のはずなんだけれど、この岩波文庫では「荀梁」と書いてあったり。とはいえ、世説新語惑溺篇が出典と書いてあるので、それに出てるのは「荀粲」のはずだからまあ誤字じゃないかなとか。
荀粲は鍾会さんにも縁があったような。


⑤将進酒

http://zh.wikisource.org/wiki/%E5%B0%87%E9%80%B2%E9%85%92_(%E6%9D%8E%E8%B3%80)

琉璃鍾
琥珀濃
小槽酒滴真珠紅
烹龍炮鳳玉脂泣
羅幃繡幕圍香風
吹龍笛
撃鼉鼓
皓歯歌
細腰舞
況是青春日将暮
桃花乱落如紅雨
勧君終日酩酊酔
酒不到劉伶墳上土

琉璃のさかずき、琥珀こし
しょうそう、酒したたって真珠くれないなり
竜をに、ほうをつつみやきしてぎょくしなく
らへいしゅうばく、こうふうをかこむ
竜笛をふき、だこをうち
こうし歌い、さいよう、舞う
いわんやこれ青春、日はまさに暮れんとし
桃花は乱落して紅雨のごとし
君にすすむ、終日酩酊して酔わんことを
酒はいたらず、劉伶、墳上の土に

※維基文庫だと「鐘」だったけど、岩波文庫だと「鍾」(コピペしたときなおした)。竹林の七賢の「劉伶」の名前が出てくる。維基文庫とかみてるとしょっちゅう「鍾」は「鐘」になってるし他の本でもそんなのあった気がするからよくあることなんだろうなあ。

てことで。

そのまま題材にされているのは銅人の一つだけ、呉質は間違いっぽい、というのはあるけれど、それでも思ったより三国志っぽいものに出会えたので満足だったり。

てか別にそのために読んだわけじゃなくて、好きな詩人なわけだけど。
幻想的。

特に好きなのは、秋来、将進酒、蘇小小歌(墓)とか……とりあえず好みの詩人。

あとがきで、早熟な詩人としてランボー、中原中也を引き合いにだしてたけれど、どっちも好きだったり。
最近あんまり詩は読んでないけれど(漢詩以外)、たまには引っ張りだしてみようかな。

とりあえずおわり。

(旧ブログ2015.6.3記事移転)









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